知っておきたい 健康シリーズ③
足の精妙なかたちとはたらきを知り、それらを邪魔しない靴を選びましょう。
全身への影響が非常に大きい「靴」
二足歩行で生活する私たちの全体重をいちばん下で支えてくれている足。
そのため「足」は非常にタフで、かつ機能的にデザインされています。
足がもつ優れた機能を活かせるかどうかが、健康レベルに深く関わっています。
そのことについて学んでいきましょう。
■ 足のアーチはとても大切
「土踏まず」という名称で知られる足のアーチは、歩くたびに加わる身体への衝撃を吸収する働きを持ちます。
ちなみに、橋がアーチ型になっているのも、重さや衝撃を分散させるためです。
このアーチが正しくはたらかないと、膝や腰、首をはじめ、関節各部に重力と地面からの
衝撃がもろに返ってきて、関節面や軟骨、靭帯などに負担が積み重なり、頸椎症や腰痛・股関
節症、膝の痛みなどが生じやすくなってしまいます。
足の働きが及ぼす影響は、首や足腰などに限りません。
血液の循環や内臓の働きなど、全身に及びます。次にその一端をご紹介します。
■ 足は第2の心臓
「足は第2の心臓」と言われています。
足は心臓から最も遠いところにあるため、心臓の働きだけでは血液が十分に届かず、足の運動によってそれを補っているということです。
歩行によって、足の筋肉の血管の伸縮運動が活発になり、足の血行がよくなります。
足を交互に動かすことは、ポンプの役割をしながら血流を促すことになります。
そのように心臓が膨らんだり縮んだりしながら血流を促しているのと同じ働きをしているため、「足は第2の心臓」と言われているのです。
歩くことは更に、次のような効果があります。歩けば歩くほど脚の筋肉が強くなり、それに加えて呼吸する回数が増えて酸素吸収量も多くなり、心臓も丈夫になります。
さらに血行が良くなれば大脳の血の巡りも良くなり、頭のはたらきが活発になります。
■ 靴選びで大切なこと
足の形には重要な特徴があります。
それは、指先に向かって広がっている、ということです。
履物が発明される以前は、ヒトは裸足で指先を拡げて、地面を掴むようにして歩いて
いました。
身体全体の重さや大きさからすれば、ごく小さなふたつの足で歩行や立位のバランスをとるためには足先が開いている方が当然良いのです。
しかし現代では、その足のかたちに反するデザインの履物が主流になっています。
ほとんどの靴が、足先に向かって細く尖った形をしています。
また、「人体工学的に研究された・・・」といった謳い文句のもとに、良かれと思って形作られたものも非常に多くなっています。どちらも、自然の叡智によって精妙にデザインされた身体の形状を損なう結果になってしまいます。
人間も自然の一部ですから、人工的すぎると、それだけ自然の計らいから得られるはずの恩恵を自ら放棄することになり、健康から遠ざかってしまうのです。
■ 足への負担が大きい履物
ここで、人工的な履物の例をいくつか挙げてみます。参考にしていただければ幸いです。
足の病に限らず、足に負担をかけると身体全体が緊張して上手く働かず、万病の一因にもなります。全身がリラックスできる、良い靴を選びましょう。
■ 最後に、むつう整体創始者・木村仁さんの著書『0波動の癒し 入門編(祥伝社刊)』から、「靴の引き算」の章を転載します。
まず、きつい靴はもっとも避けるべきものだ。足を圧迫することのない、余裕のあるものを選ぶ。土踏まずにクッションの入っているものもよくない。これは自分で取り外すことができるものも多いので、入っていたらはずしてしまう。
女性の靴も同様で、締めつけるもの、かかとの高いものなどは避ける。すでに外反母趾の傾向がある人はとくに注意が必要だ。それ以上悪化させないために、形よりも履き心地を重視するようにしたい。
男女共に素材は柔らかい革が最適だ。革は伸びて足の形に適合するため、締めつけや圧迫が緩和される。
合成皮革は通気性が悪く、伸びることもないから、足に負担をかけやすい。
また、踵の減ったものは履かないようにしたい。減った踵を見るとわかるが、ほとんどは減り方に偏りがあり、左右の高さもちがっている。身体の歪みが歩き方の癖となり力やバランスの偏りがそのまま踵の減り方にあらわれるのだ。そうした靴を履いているとますます身体の歪みを大きくする結果となってしまう。踵が減ったものはこまめに修理に出して、新しい踵を維持するように心がけたい。
靴に比べ、横の締めつけのない下駄やぞうりはとてもよい。足が自然のままでいられる、イネイト的なものだ。逆に、底に突起物のついた健康サンダルはよくない。足に余計な刺激を与えてしまい、歪みの原因となる可能性も高い。
足の刺激は下から上へとあがっていき、イネイトの上から下という流れに反する。歪みは全身に及び、脳幹にも過剰な刺激が伝わっていく。足への刺激は万病のもとであり、特に注意が必要だ。